お金を借りるということは、多かれ少なかれ、苦労を背負うことを意味します。
何しろ返済だけ考えても簡単ではありませんし、利息の支払い負担だって大変です。 それに、たとえ利息が不要な身内同士の借金であったとしても、それなりに大きな苦労があることも多いのです。
たとえば私の或る親類は、実の弟にお金を貸しました。 「仕事が上手くゆかずに困っているので貸して欲しい」と弟に頼まれたのです。
しかし、約束どおりに返済してもらえなくて困っていました。 そして何度催促しても、返してもらえないと嘆いていました。
お金を借りたのに返さない弟の言い分は、いつも決まって、「血を分けた実の弟が困ってるんだから、少し大目にみてくれ」でした。 しかし、貸した兄だって返してもらえなくて困っているのです。
どう見ても弟が悪いと思います。 ところが身内同士で事を荒立てたくない兄は、それ以上は強く言えない状態が続いていました。
結局、当初の約束では一年以内に完済すべきはずのその借金は、三年後になってやっと完済に至ったそうです。
このように、身内同士でのお金の貸し借りは、どうしても甘えが生じてしまいやすいのです。 それで約束を守らすにトラブルになったりする危険が大きいと言えます。
もしも貸金業者などからお金を借りたら、こうした甘えは一切通用しません。
もし弟のような真似をしたら、金融事故になってしまうのは時間の問題です。 甘えの発生しやすい身内の借金は、貸したほうが困った立場に陥ってしまうケースが多いように感じます。
それゆえ、私は誰にもお金は貸しませんし、特に身内同士の借金は絶対に御免です。